就労可能な在留資格をもっている外国人が転職をした場合には、やっておかなくてはならない手続きがあります。
契約機関(所属する会社)に関する届出が必要
まずは、どんな方でも必ずやっておかなければならないのが「契約機関に関する届出」という手続きです。全ての外国人は現在働いている会社で働いているものとして登録されていますので、転職した時には転職したということを届け出る義務があります。ですので、転職した日から14日以内に、契約機関(所属する会社のこと)が変わったことを出入国在留管理局に知らせるために「契約機関に関する届出」を出します。
これは、入管の窓口で書類を提出することもできますし、本人でしたらインターネット上ですることもできます。この届出だけでしたら、他の添付書類などはありません。しかし、今後のことを考えて以下の手続きも同時にやることをお勧めしています。
他にやるべき手続きの有無
では、次回更新までにやるべきことを確認するため、以下の質問に答えてみてください。
B-イの場合(どちらも「いいえ」の場合)
職種(やっている仕事の種類)に変更がなく、在留期限も迫っていない場合は、例えば、「技術・人文知識・国際業務」をもって働いている方が、同じような仕事で転職し、まだ1年以上ビザが残っているような場合です。このケースでは、絶対やらなければいけないのは、上記の「契約期間に関する届出」で転職先の会社を入管に知らせることだけです。しかし、できればこのタイミングで就労資格証明書交付申請をして、「就労資格証明書」を取得しておくことをおすすめしています。
これは、同じ職種で転職した場合に、新たに勤務する会社での活動内容が、現在の在留資格の活動に該当するかどうかを確認するものです。
例えば「技術・人文知識・国際業務」をお持ちの方が、最初にビザを取った時の会社を辞めて違う会社に就職したとき、その会社の仕事をして滞在することが問題ないかを入管に確認してもらう手続きになります。もし転職した会社での仕事内容がビザの取れるような仕事ではなかった場合、例えば飲食店の調理やホールの仕事、コンビニの店頭業務や建築現場の業務などの場合は、正社員で給料も支払われる仕事であっても「技術・人文知識・国際業務」でやっていい仕事ではないので、次回の更新は望めません。
就労資格証明書を取得しておくと、こういった次回の更新時に不許可となるリスクが少なく、いざビザの期限が迫って延長したいと思ったときに、「就労資格証明書」を書類に一緒につけることで通常の在留期間更新許可申請とほぼ同じ手続きで済むので大変スムーズです。
万が一証明書が不交付だった場合は、在留期間が十分に残っているうちにビザの取れる仕事を探し直す余裕があります。
就労資格証明書交付申請
<必要書類>
- 就労資格証明交付申請書
- 前の会社の源泉徴収票、退職証明書
- 転職後の会社の登記簿謄本、直近の決算書、会社案内等
- 雇用契約書、辞令、給与辞令
- 理由書
- パスポート、在留カード
B-アの場合(1.転職後の職種に変更はありますか?が「いいえ」 2.在留期限が3か月を切っていますか?「はい」の場合)
転職した新しい仕事でも以前と同じ仕事をしていて職種の変更はないが、転職をした時期が在留期限まで3か月を切っているという場合には、上に書いた「就労資格証明書」ではなく、いきなり在留期間の更新を申請することになります。その場合には転職した会社の情報をつけて、在留期間更新許可申請をします。
この場合は、転職後の会社や職種での仕事では在留を認められないと不許可になった場合に、ビザが取れるような仕事を探す余裕がなく帰国を余儀なくされるというリスクがあります。
在留期間更新許可申請
<必要書類>
- 在留期間更新許可申請書
- パスポート、在留カードの原本とそのコピー
- 直近の課税証明書、納税証明書(住民税)
上記がどんな方でも必要なビザの更新に必要な書類となりますが、この通常の必要書類以外に以下のような書類が必要となります。
- 前の会社の発行した源泉徴収票・退職証明書(ない場合はない事情を説明した文書)
- 転職後の会社の登記簿謄本、直近の決算書、会社案内等
(まだ決算の出ていない会社は今後1年間の事業計画書、これまでの売上等の資料など) - 雇用契約書(活動内容・期間・地位・報酬などがわかる文書)
- 理由書
Aの場合(1.転職後の職種に変更はありますか? が「はい」の場合)
転職した会社で従事する職種が、前の会社と変わる場合(例えば「教育」(中学校の英語の先生)の在留資格を持った人が「技術・人文知識・国際業務」(語学学校の先生など)の内容の仕事に転職した場合など)は、在留期限が迫っているかどうかにかかわらず、在留資格変更許可申請をする必要があります。
例のように一見同じ職種のように見えて、在留資格の分類上違う職種にみなされてしまう場合があるので注意が必要です。この場合は当然ですが新しい仕事のビザを取れる条件を会社も本人も持っているかを審査されますので、「技術・人文知識・国際業務」を持っていた人が本国の調理師の経験もないのに「技能」の資格に変更することなどはできません。
ちょっと複雑ですが、職種の変更といっても「技術・人文知識・国際業務」の中の変更であれば、変更申請は不要です。例えば、システムエンジニアとして働いていた人が違う会社で翻訳通訳として働くといった場合は、どちらの職種も「技術・人文知識・国際業務」の範囲内ですので、変更申請はいりません。ただし、その方が情報系の日本の専門学校を出ていたような場合、専門士の資格だけでは翻訳通訳はできないといった細かい決まりはあるので、迷った場合は行政書士などプロに相談してください。
在留資格変更許可申請
<必要書類>
- 在留資格変更許可申請書
- 前の会社の発行した源泉徴収票・退職証明書
- 転職後の会社の登記簿謄本、直近の決算書、会社案内等
(まだ決算の出ていない会社は今後1年間の事業計画書、これまでの売上等の資料) - 雇用契約書(活動内容・期間・地位・報酬などがわかる文書)
- 理由書
- パスポート、在留カード
職種の変わらない転職をした場合には、在留期限に余裕があるならば「就労資格証明書」を取得しておくのが一番安全です。
転職が決まったら、これまで働いてきた会社から退職証明書や源泉徴収票をもらっておいてください。それらと新しい会社の情報、雇用契約書などをつけて、「就労資格証明書」をもらいます。この手続きをしている間に新しい仕事を開始しても問題ありません。
また、これまで別の会社で働いていた外国人を雇う会社様も、新規雇用の際にその外国人の方に「就労資格証明書」を取らせるようにすると安心です。その際には、御社でやらせようとする仕事がその方の在留資格でやっていい仕事なのか、最終学歴や持っている学士などと照らし合わせながら検討する必要があります。「技術・人文知識・国際業務」を持っているからといって、事務系のどんな仕事でもしていいというわけではありません。
転職後のビザ手続きでお困りの方へ
当事務所では、転職した方がスムーズに次回の更新を迎えられるようお手伝いをしております。
就労資格証明書の取得や、在留期限が迫った時期に転職された方の手続きなど、日本で働く外国人の方が引き続き安心して日本で働けるようサポートいたしますので、お困りのことやご不安なことがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。