グループや個人でコンサートやイベントに外国人を招へいしたいという方はとても多く、当事務所へも興行ビザのお問い合わせも大変多いです。しかし、ほとんどの方はグループや個人での招へいは無理だと考えていらっしゃるようです。
実際、「原則的に」個人での招へいは難しいと言われています。しかし、絶対に不可能でもありません。個人でも会社組織ではないものの個人事業主として継続的にビジネスを行っているような場合(ダンススタジオ経営や個人マネジメントオフィスなど)は、可能性があります。一方、普段会社員をやっている方がイベントでちょっと呼びたいというような招へいは難しいです。
個人やグループが日本の招へい機関(日本の側で外国人と契約、招へいの手続きを行い、滞在中の在留管理を行うところ)となった場合でも、ビザが取れる場合と取れない場合があり、場所や日程を決めてしまってから許可が下りるか心配になって相談に来られる方もいらっしゃいます。
また、興行経験がある会社でないとビザが取れないとの噂を信じて、高いお金を払ってビザだけ取ってもらうということも行われているようです。
では、実際のところはどうなのか?ここでは、個人やグループでの招へいでよく聞かれる事項について、まとめました。
個人やグループで招へいする場合どういうことに気を付ければいいのか?
招へい機関の審査にあたっては、通常の会社であれば登記簿謄本、決算資料(損益計算書・貸借対照表)、従業員名簿といった資料を提出し、どのようなビジネスをしている会社なのか、イベントをやるだけの資金面での体力があるのか、外国人の在留管理を適正に行える人員はいるのか、といったことを審査します。
個人やグループの場合、当然こういった資料は揃えられませんので、それに代わるもので出来るだけ同じような内容の証明ができる資料を作成することになります。また、どのような経緯で今回の招へいが決まったのか、招へい人との関係、招へいする側の信頼性といったことを理由書で説明していきます。
法律・ルールに則った計画と正しい実行
一番大事なのは、イベントが法律で定められたルールにのっとった会場や契約で計画され、それが正しく実行されることです。決められたルールについては、当ホームページでも徹底解説していますので、そちらをご参照ください。
特に2号ホ「1日当たり1グループ50万円以上の報酬を支払い15日以内の滞在」という条件を満たすには、契約書にきちんとイベント日時とその報酬が書かれたものに、外国人(またはそのマネージメント)と招へい機関となる個人やグループが両者サインを交わしたものを用意する必要があります
そして、当然ながらその報酬がきちんと支払える財政的な裏付けが必要です。
日本滞在中の在留管理
また、個人やグループで招へいする場合、問題となるのが外国人が滞在中の在留管理が正しくされるか、という点です。
申請の時には招へい機関となったものの、実際に本人が来日した後は、空港から公演場所まで帯同もせず外国人だけで行動させてしまったり、申請にないような活動を勝手にしてしまったり、挙句の果てには帰国せずに不法滞在になってしまったりしては困ります。
滞在中、誰がどのように外国人に帯同し適切に在留管理をするかを説明しなくてはいけません。
自分の代わりに申請だけ名前を貸してもらう会社を見つけた方がいいのか?
これもよく聞かれる質問ですが、確かに個人で呼ぶより会社が招へい機関となった方が望ましいことは間違いありません。
しかし、今回の外国人の活動やイベントに全く関わらない、いわゆる「名前貸し」はすべきではありません。
その会社は外国人との契約書の当事者にならないといけませんし、もし何かトラブルがあった場合、直接責任を負うことになります。名前だけ貸していたではすまなくなってしまいます。本来その外国人の労務管理をすべきだったのですから、出入国在留管理局への申請も虚偽であったことになり、入管法にも違反することになります。
たとえ個人やグループであっても、きちんとルールにのっとって、計画、契約、収支を整えればビザは取得することは不可能ではありませんので、まずは許可が可能かどうか当事務所にご相談ください。
個人やグループで申請する場合の必要書類は?
個人やグループで申請する場合でも、会場に関する資料(会場の使用承諾書、図面、写真など)、申請する外国人のプロフィールや出演承諾書などは同じように用意します。
会社が招へい機関の場合、その他に会社の登記簿謄本、決算資料、従業員名簿を用意しますが、個人やグループではそれらの代わりになるものを用意します。
具体的には、招へいする日本側個人またはグループ自体のプロフィール、個人事業主としての確定申告書や住民票、今回イベントの予算書、グループ構成員の名簿などです。予算書というのは、今回の来日公演についてどれだけの収入があり、どれだけ経費がかかるかを示し、十分外国人に報酬を支払えることを示します。
個人やグループで申請する場合でも難しいことには間違いありませんが、全く不可能ではありませんので、一度当事務所にご相談ください。