介護業界における働き手としての外国人の活用策

介護業界では、以前から人材が足りないと悲鳴を上げている事業所は、とても多いと思います。求人を出しても集まらない、ようやく採用できても長く続かない。人手不足で利用者からの申し込みに応えられない、事業を広げられないという声もよく耳にします。

介護現場での人手不足がいよいよ本格化する中、「外国人を受け入れればいい」との話が出てきています。もちろん、今現在も日本人の妻や日系人、EPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)に基づき来日される方もいます。

しかし、EPAでの受け入れはこれまで3100人ほど。4年以内に介護福祉士の資格を取得できなければ帰国を迫られる厳しいもので、そもそも労働力不足の解消のための制度ではありません。

介護業界の外国人活用策

そこで2017年、(1)技能実習の職種に介護を加えること(2)在留資格に「介護」の枠を作ること、といった外国人活用策が実施されることになりました。

しかし、それらの制度を検討していた「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」でも、ただ外国人を多く入れればいい、ということではないと言われています。

  • 介護職のイメージ低下を招かないようにすること
  • 外国人に日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人の処遇・労働環境が悪くならないようにすること
  • 介護は対人サービスで、また税金を使っていることもあり、質の担保をし、利用者の不安を招かないようにすること

といったことに目を配った議論をしなければ、外国人を入れても人材不足は解消されないということです。

そのうえで、技能実習も在留資格「介護」も大きな動きがありました。それぞれの動きを説明する前に、外国人が日本で暮らすことについて法務省入国管理局の基本的な考えを知っておきましょう。

日本で長く生活するためには、在留資格(ビザ)が必要です。在留資格は大きく分けて、日本人の妻や実子等の「身分系」、学歴、職歴、職務内容などから許可が下りる「就労系」、留学など「その他」といった分類ができます。

身分系ビザや日系人等には、働く時間や内容に制限はありませんが、留学生や外国人の妻(「家族滞在」)は、働くためのビザではないので1週間の労働時間に制限があります(週28時間、長期休暇時1日8時間まで)。

就労ビザも許可された内容以外の仕事はできません。また、就労ビザが取れる業務内容は決まっており、建築・介護・飲食業などの現場仕事、単純労働は認められません。就労が認められるのは主に大学を卒業し、その知識を活かしたり、外国人ならではの業務を行う場合です。

日本国内の労働力不足を外国人で補う制度は建前上「ない」

以上のことから、法務省は日本人の労働力不足を外国人で補う制度を建前上は用意していないということが分かります。言い替えれば、日本に喜んで迎え入れられるのは、学力、資金などを備えた「日本の役に立つ」外国人だというのが本音の部分ではないでしょうか。

しかし、単純労働の担い手が減り、人手不足がいかんともしがたい状況で編み出されたのが、本来は国際貢献の目的で創設された「技能実習制度」で外国人に来日してもらう策でした。

現在、技能実習生として働く外国人は約21万人にも上ります。農業、水産業、建築業などの単純作業の現場は彼らに支えられていると言っても過言ではありません。しかし、「残業代未払い」「過重労働」など問題も山積みで、制度自体の見直しが進められています。

技能実習制度への「介護」の追加

2017年実施されるその制度見直しが実施されるタイミングで、介護が業種に加わる方針です。業種に加わることで今まで最長1年だった期間が最大3年になります。また、優良管理団体による実習であれば、最長5年の滞在が可能になりました。

ただし、介護は対人サービスで初めての業種であり、より慎重なルール作りが必要不可欠です。具体的には、「最低限の日本語能力」「業務内容の限定」「受入団体の限定」などで、例えば訪問介護はできない、設立3年以上の施設を受入団体とする、などが検討されています。

もちろん、賃金、労働条件などで日本人と差があってはいけません。例えば日本人と同等の仕事をしているのに技能実習生だけ最低賃金になっていて、有給も与えられないなどは許されません。

今回の制度見直しによって、待遇が改善し、技能実習生が増えることが期待されています。しかし、技能実習は本来技術移転が目的で、研修も原則介護福祉士などが行わねばならず、日本語能力や研修内容の習得が不十分だと1年後(制度が変われば3年後も)の更新も認められず、最長でも5年経ったら帰国しなければなりません。

「5年働いてくれれば助かる」と考えるか、「最長5年しか働けない…」と考えるかは事業所次第ですが、ただ単に安く下働きしてくれる人手と考えるのではなく、「育てる」ということが本来求められていることは知っておくべきでしょう。

在留資格への「介護」枠の創設

そんな技能実習とは全く違う制度が、(2)の在留資格に「介護」の枠を作ることです。在留資格を得ることは、それに合う働き方をすることでずっと日本にいられる、更に一定期間正しく暮らしていれば永住者の資格が取得できるということです。

こちらも入管法の改正が通過し、近く実現する予定です。内容としては、日本の専門学校で「介護福祉士」の資格を取った留学生に介護施設への就職を認めることがベースとして考えられています。

在留資格「介護」が創設されれば、短期的に技能実習で手軽な人材確保を図るより、これらの学生を長い目で育てようという施設も増えると思われます。

「介護福祉士」を取るためには、現地もしくは日本でまず日本語を習得し、日本の専門学校で3年間のカリキュラムをこなす必要があります。学生にとっても負担は大きいですが、人手不足の業界ですから、卒業後は引く手あまたの状況です。

学生の時から週28時間の資格外活動でのアルバイトなどで実務経験を積みながら、卒業後は施設の中心として活躍する外国人が増えてくるかもしれません。

日本人の人材確保と同じ視点を忘れずに

どの制度を使うにせよ、人を育てる、現場を大切にするという日本人の人材確保と同じ視点を忘れずに、うまく制度を利用する必要があります。

以上が外国人介護人材の雇用に関する昨今の問題点ですが、もし現に、介護現場で外国人の雇用でお困りの方は、当行政書士事務所に一度ご相談いただけたらと思います。

一般社団法人日本介護協会主催の「介護甲子園」のお手伝いもし、介護業界の事情もよくわかった代表の世利(行政書士)が相談をお受けいたします。初回のメール・電話相談は、原則無料です。

まずはお電話・メールでの無料相談で、外国人の雇用や就労ビザ、国内への招へい等のお悩みをお聞かせください。

お話を伺った後、外国人の雇用や招へいに関して直接のご相談を希望される場合は、日時・場所の調整をいたします。

直接相談の後、外国人雇用・招へいに関する各種代行サービスをご希望の際は、ご依頼の後、業務に着手いたします。

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