興行ビザのコロナ問題の現状
イベントやコンサートで外国人を呼びたいという会社様にとって、新型コロナウイルスの影響で外国人が入国することが難しい現在の状況は大変なことだと思います。
今後の状況の変化は、日本の、そして各国の患者数の増減によって大きく変わってきますが、全体としては感染が収まってきた国同士で少しずつ受け入れを拡げていくことになるでしょう。日本は現時点(2020.12.7現在)ではいったん収まった流行が再燃するか微妙な状況にありますが、流行が収まり次第、同様に収束に向かっている国との人的交流を順次再開しているところです。
「興行」は分類上ビジネスを目的とした在留資格です。実質的に多くは数日~1,2週間の短期の滞在になる方がほとんどですが、分類上は「短期商用」ではなく中長期在留者の扱いになる点に注意が必要です。「短期滞在」は自国での業務に伴うミーティングやアフターサービスなど日本で行う活動で報酬が発生しないものに限られます。たとえ滞在日数は短くても芸能活動をすることで報酬を受け取る場合は、就労を目的とした来日ということになります。現在始まっている「ビジネストラック」は、待機期間のない活動ができますが、その対象に現時点では「興行」は含まれておらず、たとえ滞在期間が短期間でも「興行」活動を行うための来日には適用できない点に注意が必要です。
【「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」について】
いくつかの措置が複合的に進んでいるため、現状が非常にわかりにくくなっていますが、「興行」という観点から解説します。
まず、ほとんどの場合「興行」で来日される方は既に「興行」の在留資格を持っている方ではなく、新規入国の扱いになる方です。その場合、本来ですと出入国在留管理局で在留資格認定証明書を交付してもらい、それを本国に送り、現地の日本領事館でビザ申請書と一緒に提出すればビザがもらえます。
しかし、現時点ではそれだけでは足りません。来日する外国人の住む国のコロナ流行の程度により、ビザ申請の際に揃えるべき資料は変わってきます。必ず申請予定の現地の日本領事館のホームページなどをご確認いただき、必要な書類を準備してください。
現時点では、「興行」は待機期間の免除が認められるビジネストラックの対象在留資格に含まれていません。ですので、興行で来日したければ14日間の自宅待機が求められます。いつビジネストラックの対象に「興行」が含まれるかが非常に注目されます。興行で来日する場合、ほとんどが招へい会社の送迎のもと、滞在ホテルと活動場所を往復する様な形がほとんどだと思いますので、ビジネストラックの対象になればほぼ活動の制約を感じることなく興行活動が可能になると思われます。
それまでは、「レジデンストラック」と同様の手続きが必要で、14日間の待機も想定した計画を立てる必要があります。また、「レジデンストラック」での入国の際には、受け入れる日本の企業が「誓約書」を作成して、スキャンしたものを外国人に送らなくてはいけません。それがないと、入管での手続きが上手くいっても入国ができません。
「誓約書」は、一言で言うと日本で行われている感染対策を外国人に守らせることを企業が誓約するものです。受け入れ会社、責任者の氏名の記載が必要になります。それ以外にPCR陰性証明が必要かどうかは、その国が入国拒否対象地域に含まれているかによって変わってきます。
【日本での在留資格認定証明書交付申請について】
興行のビザを現地領事館で申請する前に、日本の出入国在留管理局で「在留資格認定証明書」を交付してもらわないといけません。この状況であっても、この申請自体は受け付けられ、問題なければ「在留資格認定証明書」も交付されています。
まず申請にあたって、この状況ですのでスケジュールなどは確定できないのもやむを得ないとも言えます。考え方としては、申請の時点で出来るだけ事実に近い予定を出すようにします。また、行う予定の活動は確定できなくても全て書くようにします。そして、交付された在留資格認定証明書は入国拒否の措置が取られている間は有効期限は自動的に延長され、解除になってから6ヶ月とされていますので、早めに取ってしまって期限が切れてしまうのではないか?と心配する必要はありません。もし一刻も早く来させたいと考えるようであれば、この出入国在留管理局での申請は進めてしまっても大丈夫ということです。
また、このような状況で「配信ライブ」を日本で行いたいと考えるアーティストも多いと思いますが、配信ライブで観客が入らない形であっても、会場の要件は観客がいる興行と同じものを要求されるので注意が必要です。つまりスタジオやライブハウスでの公演を有料で配信することは、1号を取らない限りできないということです。(個人的にはこの形態は生放送への出演であり、4号だと考えますが、そうはとらえられていないようです。)
「興行」での来日をお考えの会社様は、ご相談ください。「興行」を専門とする行政書士が直接対応させていただきます。