外国人従業員の入社と在留資格(就労ビザ)の問題
4月1日入社が決まっている外国人の方は、現在の「留学」などの在留資格から就労可能な在留資格への変更手続きが必要です。では、その変更手続きはいつから出来るのでしょうか?
それは申請する出入国在留管理局にもよりますが、大体年明けからです。そこで疑問になるのが「大学を卒業していないのに申請できるのか?」という点です。
働くためのビザで一番多いのが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格への変更ですが、その条件の中に「大卒相当の学歴」があります。現実的には内定が決まった時点でほとんどの学生が卒業を決めています。しかし、申請の時点ではまだ大学から「卒業証書」そのものは受け取れていません。
その場合は、大学からの「卒業見込証明書」をつけて申請を行います。入管もそれを見て大学を卒業するであろうことを前提に審査を進めます。そして、申請から約1ヶ月後、まだ卒業をしていない時点で許可ハガキを受け取ることができます。そのはがきは正式には「許可」ではなく、「結果を受け取りに来てください」という形にはなっていますが、特に何も書かれていなければ実質許可と言ってもよいものです。
ただし、まだ大学を卒業していない人は、そのはがきを受け取ってすぐに行っても働ける在留資格への変更は出来ません。3月20日以降に大学が発行する卒業を証明する書類(卒業証書、卒業証明書など)を持って行く必要があるからです。ですので、例えば2月上旬に申請して3月上旬に許可ハガキを受け取ったとしても新しい在留カードを受け取ることが可能になるのは3月20日以降の卒業証書が手に入ってからということになります。
もちろんそれまではアルバイトの制限も28時間以内のままです。入社の前の研修なども在留資格の変更が出来てから、つまり新しいカードを受け取ってから可能になります。
また注意が必要なのは、卒業してしまった後は例え28時間以内であってもアルバイトは出来ないという点です。アルバイトは学生の生活費を稼ぐために「資格外活動」として許可されたもので、在留期限としてはまだ残っていたとしても、大学を卒業した時点でその資格外活動許可も効力を失います。
就職が決まらない場合のビザ手続き
もし就職先が決まっていなくて働かなくてはいけない場合は、「特定活動(就職活動)」に在留資格を変更する必要があります。
「特定活動(就職活動)」に変更するためには、大学からの推薦状や就職活動をやっていたことがわかる資料を準備する必要があります。大学から推薦状をもらうためには、以下のような注意点があります。
- 説明会にエントリーしただけではだめです。
説明会 → エントリー → 筆記試験 → 面接 → 合否結果
などの経過と結果がわかる資料が必要です。 - 数カ月に渡って継続的に就職活動をしていることが必要です。
- 在学中からやっていないとだめです。
新卒以外の人の入社
日本の大学を4年で卒業して就職する人以外の手続きはどのようにすればいいでしょうか?
まず、海外の大学を卒業済みで日本の語学学校、専門学校、大学、大学院などに留学されている方がいます。その方は、既に海外の大学の卒業証書を持っているので上記にかいたような申請や在留カードの受取り時期の制約はありません。ただ、4月1日入社が決まっているのであれば、あまりに前に申請しても在学中に在留資格を変更することは出来ません。卒業までは学生としての活動をすべきだからです。その申請の際には当然ですが、海外の大学を卒業したことを証明できる書類を提出すべきです。
中途採用など入社のタイミングに制約がなければ、雇用契約書通りに働き始められるように在留資格の変更をすればいいことにいなります。もし在学中の学生生活を中途で切り上げることに問題なければ、採用が決まったらすぐに申請すればいいことになります。
また、上に書いた「特定活動(就職活動中)」や「特定活動(ワーキングホリデー)」などの在留資格の方も大学を卒業していれば、すぐに手続きが可能です。特定活動という在留資格には様々な種類があり、採用前に在留カードだけではなくパスポートにホッチキスされている「指定書」という紙を確認するようにしてください。就職活動中であれはアルバイト、ワーキングホリデーでしたらこれまで通りの業務を続けながら、審査を待ち、審査が終了次第御社にてフルタイムで入社することが可能になります。
外国人の採用について、ご不明な点がございましたら、当事務所にご相談ください。